◆ 10月号 『治療をする前に紹介を受けました。』
今月の『力がある言葉』
⇒ 「治療をする前に紹介を受けました。」
そんな言葉をお客様である歯科医院の先生からお聞きしました。 「治療をする前に紹介を受ける」ということは一般の事業の場合だと商品を売る前に紹介客 をもらうということなのです。とても不思議な事だと思いませんか?
でも、この事実に私はこの歯科医院の大きな飛躍(ターニングポイント)を予感しました。
転勤が多いせいでいろいろな歯医者さんにかかっていたビジネスマンが初めて診療所に来 た時にそれは起こりました。丁寧にお話しをきき、その患者さんが求める理想の状態をついに 聞きだすことができたのです。「こんなに自分のことをわかってくれる歯医者さんに出会った のは初めてです。ぜひ妻の治療もお願いしたい。」と言われたそうです。
昨今の歯科医院経営は歯科過剰であるとともに、保険点数の引き下げもあり、一般の人がイ メージする裕福な歯科医院は少なくなり、まさに競争の時代に突入しています。
この先生は、そんな中で「数をこなす保険医療中心の歯科医院経営が本当に患者さんに納得 してもらえているか。」ということに疑問をもち、数年前から自費治療中心の経営に切り替え ました。その結果いままでの患者さんたちは離れていき、収入は激減、従前の仕事に慣れたス タッフさんたちも次々に退職するなどキャッシュフロー(資金繰り)が不安定になりました。
そんな一番苦しいときからご縁があって私共の事務所とお付き合いしていただくことにな りました。
先生は治療に取りかかる前に、患者さんひとりひとりに時間をかけてお話を聞き、一番納得 される診療を提案していくことに全力を注いでいました。患者さんの思っていることを最大限 に聞き取ることができるよう、休みの日をつぶしてカウンセリングの学校に通って勉強もされ ました。努力の甲斐があって徐々に収入は増えていきました。最初はどうしても治療に必要な 言葉のみをとらえてしまい、患者さんがなにげなく言った本当のニーズ(例えば治療だけでは なく歯並びも良くしたいなど)を聞き逃していたそうです。また多くの患者さんは、自分のイ メージする治療を、患者さんに説明することなく実施する歯医者さんに対して怖いイメージが あることも気づきました。
夢を追いリスクを乗り越えて経営革新をする先生を応援していきたいと思います。
2012年 7月 25日